2011年11月11日金曜日

フィンランドの専門学校

本日は、フィンランドの専門学校について、それが及ぼしている効果を考えてみた。

先日の大会の記事をお読みになってからのほうがおもしろいと思います。
http://eieishi.blog25.fc2.com/blog-entry-350.html

さて、フィンランドでは義務教育の後、95.5%の生徒が、学校で勉強を続ける。
そのうち、54.5%がupper secondary schools(普通高校)へ、
38.5%がinitial vocational education and training(専門学校)へと進む。
2.5%は義務教育10年生となる。(そういうコースがある)

その専門学校でどんなことをやっているかの内訳はこれです。カッコ内は生徒の割合。
(フィンランドのthe Ministry of Education and Cultureのページより)

Technology and Transport (36%),
Business and Administration (19%)
Health and Social Services (17%)
The other fields are Tourism, Catering and Home Economics (13%)
Culture (7%)
Natural Resources (6%)
Leisure and Physical Education (2%)

8月以降、直接現場を見に行こうと思っているが、この専門学校の豊富さというのは、
フィンランドの教育制度の一つの特徴かも知れないと考えている。

約4割の生徒が仕事へのスキルに直結した専門学校に進む。
言ってみれば、社会(仕事)が学問と近いところにあるのだ。
多くの人間が専門職として働くために、それにつながる勉強をする。
それを大きな選択肢として提供している。

この大会にも、多くの中学生、小学生が見に来ていた。
この大会に出ていた専門学校の生徒たちが輝いている様子をすぐ近くで見る。
まさしく最高の進路教育である。

そして反面、普通高校に進む生徒は自ら選んで、「勉強する」ために進むというわけだ。
また、普通高校に進むためには中学校でも勉強が必要だから、「勉強する」ということを
自ら選択していることとなり、生徒のモチベーションへとつながっていると考える。
同僚の先生たちは言う、モチベーションは彼らの内側から来るものだと。

フィンランドの高校の定期考査

本日はテストについて書こうと思います。
重ねて言いますが、あくまでこの記事は私が今いるフィンランド、クオピオの高校で見たことを書いています。
フィンランド中がその通りかどうかは分かりませんので、ご了承ください。
しかし、一年間通して現場からの実感を書き綴ろうとしております。


フィンランドの高校は5学期(jakso)制で、
1学期に8つの単位が用意されています。1つの単位は週3回です。
この学期の終わりにそれぞれの単位でテストがあります。


そしてここからは、日本の高校生には羨ましい内容ばかりかもしれませんが、、、

テストは、1日1個のみ!
 今週の火曜日から来週の水曜日までがテスト週間で、1日1つずつテストがあります。
 (1日だけ、授業が少ない2つが重なっています)

しかも、テスト時間は9時から12時まで3時間!!
 今日の数学では、大問が9つあり、そこから7つを選択して解くというもの。
 分量は日本の1時間での定期考査と変わりません。
 教科によっては、さらに長い場合もあるそうです。
 今日は始まって1時間で退室する生徒から、2時間半かけて頑張る生徒までいました。

さらに、数学について言えば、関数電卓と公式集は持ち込み可!!!
 特に関数電卓は、しっかりと数値で答えを出さないといけないので必須です。

さらにさらに、テスト前日に、次の日のテスト対策授業がある!!!!
 テストは12時で終わり、12時15分から、次の日のテストの先生の教室に行き、テスト対策授業を受けます。
 数学では、演習が中心で、生徒は先生に質問したりなどしてました。

そして、これは教員目線ですが、テスト作成はすべて先生に任されているとのこと。
つまり、同じ授業を教えていても、それぞれの先生によりテストが違うという事です。
話し合って作るという事はあるそうですが、すべて自らの責任で作成、採点できるという事です。

また、解答用紙は生徒が自分でA4ノートから切り離して持ってくるというのも、おもしろいと思いました。

フィンランドのスタディカウンセラー

今日話したのは、卒業後について。
まず、うちの高校の状況を説明すると、
うちの高校は、クオピオでは一番人気のある高校らしく、生徒もよく集まってくるらしいです。
来月に新入生向けの準備があり、それを手伝う予定なので、入学については後ほど書きます。
そこそこ勉強へのモチベーションが高い生徒が集まっていると言えるでしょう。

高校ではHRがないため、進路指導は基本的にはスタディカウンセラーの仕事です。
1学年160人位いますが、スタディカウンセラーは2人です。
そして2年の終わりにガイダンスを受けて、3年で進路について相談するのが一般的な流れだそうです。

そして、その際に使う資料のウェブサイトを見せてもらいました。
日本と同じように生徒の興味のあることや自分の出来ることをアンケート形式で答えていって、
それに応じて適した職業や学問が表れるサイトや、
大学、専門学校が一覧できるサイトなどを詳しく教えてもらいました。

そんな生徒たちの卒業後は、概算で
50%がフィンランドに20校あるすべて国立の大学(Yliopistot)へ、
40%が28校ある技術専門学校(ポリテクニック)(Ammattikorkeakoulutへ、
残りがオープンユニバーシティや、海外の大学、就職などと言った感じのようです。
意外にもストレートで色々なところに進む生徒が多いようです。

フィンランドの高校数学のテスト

高校数学にはロング(pitkä)と、ショート(lyhyt)があります。
ショートは6単位、ロングは10単位が卒業のために必要です。
どちらにも、それに加えて3単位のより発展的な内容を扱う単位があります。

ちなみにロングの10番目の単位は、積分でした。
数Ⅲの内容から置換積分、部分積分を除いた感じでしょうか。立体の体積までやっていました。

クラスには30人の生徒がいたのですが、
3時間時間いっぱいまでテストを受けた生徒が10人近くいました。
しかも、集中力がなくダラダラ受けているというわけではなくてですよ。

日常の授業中の態度と比べ物にならない位(笑)、きちんと机に向かっていました。
まぁ、全員高校2年生ですから、これ位当然なのかもしれませんが。。。


このように学校で、3時間しっかりと使って、テストを出来るというのは、
勉強してくればどんな子でも点がとれるということにつながっているのかなとも思いました。
時間がなかった~なんて言い訳させてもらえないですし。

そして、電卓、公式集を持込可で行うということは、

生徒は解くプロセスにのみ集中すれば良いことになります。
基本となる公式を覚えることを必要としないテスト。


計ろうとしているものが違うのでしょうね。

フィンランドの卒業式、夏休み


夏休みに入る前の終業式+卒業式の模様をお伝えします。

終業式はテストが終わってすぐでした。
6月1日テスト終了→2日祝日→3日テスト返却→4日終業式。
終業式と言っても、学期ではなくて、1年の終業式です。

朝8時から生徒(1,2年生)は集合して、終業式開始。
代表する先生からの言葉、校長からの言葉、生徒会長からの言葉、先生と生徒のバンドが一曲、
そして優秀生徒の表彰。
優秀生徒は、教科やスポーツなど色々な分野から選ばれて20名以上いたでしょうか。
1時間で終了し、そこから自分のグループの教室に行き、成績表をもらったら帰宅です。
生徒たちは8月11日まで2ヵ月以上の夏休みに入ります。

そう、お気づきですね。本当に、夏休みの宿題なんてありません!!!

どの先生に聞いても、「休みだから。」という返答。
日本の状況(宿題や、夏期講習、クラブ活動、塾など)を説明すると、
「日本人はよく勉強するね。」「フィンランド人は切り替えがうまいんだよ。」と。
まぁ、確かにそうですが。。。

自分の常識なんて、簡単に崩れるものですね。


加えて、卒業式です。
10時から開始でした。
ビックリするくらいの人。体育館は立ち見ばかり。
入りきれない人は、教室でビデオ中継を見てました。
式は、代表する先生の話、在校生(一部)による歌、校長の話、
一人ひとりに卒業証書と帽子贈呈。
卒業生による合唱、卒業生代表挨拶、卒業生(4人)による歌、国歌斉唱。
という感じでした。

まぁ、日本とそんなに変わりません。
それから、卒業生は家族でお祝いをして、(ここには先生や近所の人を呼んだりします。)
夜はバーでパーティーといった感じでしょうか。

みんな帽子をかぶって飲んでる姿は面白かったです。

フィンランドのセンター試験


フィンランドでは日本のセンター試験のような試験が行われています。
英訳すると、matriculation examでしょうか。

教科は、
フィンランド語
スウェーデン語
外国語(英語、フランス語、ドイツ語など)
基礎教科1(心理学、哲学、歴史、物理、生物)
基礎教科2(宗教、社会学、化学、地学、保健)
です。

この中から、フィンランド語は必修で、他に最低3つを選択して受けなければなりません。
このテストが高校の卒業要件です。
さらに、このテストと各大学試験で大学に入ることができます。

毎年春(3月)と秋(9月)の2回行われます。
今の学校の生徒の70%は3年の秋と、春の2回に教科を分けて、受けるようです。
中には1回で4教科受ける生徒もいますし、4年いる生徒は3回受けるのが一般的なようです。

2期に分けて、5~7教科受けるのが、うちの高校では一般的なようです。

テストは同じ時間に自らの高校で行われます。
うちの高校は体育館に机を並べて、行なっています。
テストは1日1教科です。
言語のリスニングのみライティング、リーディングよりも先に他の日に単独で行われます。
試験時間は1教科最低3時間、その後は最長で6時間です。
みっちりと文章で答える問題が多いです。

まず自分の高校の先生によって採点され、ヘルシンキに送られ、もう一度採点されるようです。

結果は、得点分布によって、7段階で付けられます。(I,A,B,C,M,E,L)

落第であるIをとったり、成績が思ったより良い場合は、次回以降決められた期間内に、
テストを受け直すことが出来るようです。
卒業要件については、他の教科の成績でカバーできる仕組みもあります。

何より驚いたのは、長い試験ですので、生徒はすべてのパッケージに書かれた文字を外して、
ドリンクや食べ物を持ち込んで、いつ食べても構いません。
さらに、うちの学校ではサンドイッチと、りんご、クッキーを試験前に自由にとっていってよいという
仕組みになっていました。
試験中に、温かいコーヒーか紅茶を希望者に配ることすらありました。



ここからは、感じたことを書きます。

生徒はじっくりと考える時間、自分の答えを書く時間を与えられ、勉強してきたことがそのまま発揮できる。
そんな仕組みに感じました。
このテストが高校でのゴールだからこそ、日本のような詰め込み暗記の学習よりも、
幅の広い授業が展開できるのだと思います。

やはり、学校で行われる授業はどうしてもゴールを意識してしまします。
日本の就職のあり方や、大学入試センター試験のあり方が、今のままである以上、
どんなに学校が教育内容を変えようとしても、限界があるのかもしれません。
どうしても、ゴールに即した教育内容にするしかないからです。

指導要領の改訂といって、コンテンツを変えても、ゴールが変わらないと何も変わりません。
しかし、ゴールさえ変えてしまえば、他のものはそれにあわせて変わらざるを得なくなります。

今一度、今のゴール(新卒一括採用や大学入試、その他入試)が正しいのか、
目指す生徒像に即しているのかを考える必要があると思います。

ドキュメントカメラ

フィンランドの教室ならば、どこでもみかけるもの。

それは、ドキュメントカメラと彼らが説明してくれるもの。


日本語では、書画カメラとか実物投影機とか言われているらしい。

これを使って、教科書やノート、プリントを投影して、授業をしている。

メリットとしては、

1.生徒の描いたノートをそのまま見ることが出来る。
  (黒板に書かせるよりも簡単で早く。)

2,先生が無駄な板書をせず、常に生徒の方を見て話せるから、授業のリズムが上がる。

3.図などをわざわざPCに取り込んでプロジェクターにだしたり、大きな写真をもって移動しなくてよくなる。

機能によって、値段の差はあるが1台10万~20万くらい。

これをすべての教室に導入できる所がすごい。

公立中学校、高校ですよ。しかも、生徒は全てタダ。

ちなみに、インターネットでは、日本でもある学区の小学校がこれを全教室に導入したと書いてあった。


次は、スマートボードでしょうか。