2013年3月7日木曜日

佐藤学先生と学び合いの授業


先日、佐藤学さんのお話を聞く機会を頂いた。

佐藤学さんとは、学校改革の視点として「学びの共同体」づくりを

提唱されている学習院大教授です。

毎年100校程度の学校訪問、研究授業への参加をされている先生です。

今まで本で生徒同士が主体的に学び合う授業を研究し、

自分でも実施してきたが、新しく気付かされることばかりだったので、

ここでも共有させていただきます。

●学び合いのポイント
 教室において、生徒一人残らず学びを保証する。
 生徒同士がつながり、安心して学ぶ関係を作る。

●学び合いは話し合いではない。
 グループ内でコミュニケーションがなくてもよい。
 学びの基本は独りでするもの。
 分からなくなった時に、人に聞ければばよい。
 つぶやきを聞いて、他人が学べばよい。


●盛り上がるグループは心配。学び合いが行われない。
 話し合いとはすでに分かったことを言い合うこと。
 話し合いではなく、聞き合い、つぶやきを自然に聞く関係。
 伸びる子は良くきく子。
 細やかさや繊細さを育てる必要がある。
 授業の中では、どうやったら気付きあえるか、
 つぶやきを生むにはどうしたらいいのかを考える。


●テンションが高いと、深い学びまでいかない。先生の声のトーンを落とすこと。


●分からない子とは周りとのつながりを失った子供。
 一人のままでは理解できない。まずつながりが必要。
 教師がつなぐ必要がある。意図的につなぐ。
 一人も一人にしないように。


●自力解決(自分だけで答えを出すこと)にこだわるのは日本、韓国、中国のみ。
 先生はなぜ自力解決にこだわるのか?
  ①自分で考える習慣を付けたい。
   →別に、まず写すことから初めても良いのではないか?
  ②まず自分の考えを持ったほうが話しやすい。
   →出来る子はすぐにやってしまい。他の考え方への柔軟性がなくなる。
    出来ない子は固まるだけ。
    よく考えて分かった子はいないという事実に気づくべき。
    この時間がもったいない。ジャンプの課題(発展問題)を
    する時間にしたほうがいい。
    (出来ない子ほど難しいジャンプの課題が好きで取り組む。)


●授業の最初の10分は黄金の時間。
 この時間を自力解決にすると、ここで出来ない生徒は潰れて、
 残りの40分何もできない。
 グループにしておいて、個人解決をさせて、分からなかったら隣に聞いて良いと
 言っておけば、出来ない子が固まらない。


●学び合いだけでは学力は伸びない。
 ジャンプの課題。課題を高いレベルに設定する必要がある。


●男女の関わり方。
 学び合いでは、同意は同性へ求める、疑問は班全体へ求める。
 そのため、男女を交互に席を配置する必要がある。
 1年生から男女の関係がしっかりとしていると、学校が安定する。
 女子の関係には注意すること。生理的に嫌いという状況を作るとどうしようもない。

●男は分からなくなるとうるさくなる。女は分からなくなると静かになる。
 女子を指名した方がいい。女子を表に出していくことで、
 女子と男子がうまく関係を築く事ができる。


●まとめて発表するようにすると、まとめる方にばかり意識がいって、
 学びが深まらない。
 (発表用のボードなどは直前に渡すと良い。)
 グループで学びあったということは、その後は誰でも発表出来る状態である。
 グループで学びあったあとは、指名して、答えさせる。(他人の意見を言ってもいい)


●学び合いを一斉学習に持ち込むから、時間が足りなくなる。
 学び合いを中心にすれば、時間は足りる。

1 件のコメント:

  1. すごく参考になりました。ありがとうございます。
    佐藤学さんはNHK未来への提言の特集でオリペッカヘイノネンさんにインタビューした方ですよね。フィンランドで学んでいるインドネシアの子が良くManabu Sato と言って名前を呼ぶのですが、私はてっきり斎藤学のことを言っているのだろうと思っていたのです(笑)
    学びの共同体づくりの重要性は教師間にも言えることではないでしょうか。昔学校現場で合った学び合う共同体が失われつつあるように思います。学校外で共同体を作る動きも都会ではあるようですが、もっと校内でお互いが助け合い、高め合えるような動きがでてくるといいですね。

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