2018年1月3日水曜日

一人一台の情報端末による教育

1 人1台の情報端末を生徒が持つことによる影響について、
以下の3つの道具(ツール)としての考え方をまとめます。

1. 一人ひとりの学びに寄り添う道具

 1 人1台の情報端末は、スキナーなどの実証主義的な教育の手助けになる。
実証主義的な教育とは、学習内容は系統的に構成されており、適切に計画された教案に沿って知識が効率的に伝達され、学習者は与えられた順番通りに課題をこなしていことで、効果的な学習ができるという理論である。
 この理論に基づいた授業でおちいる可能性のある、教員が延々と説明するばかりで、個別の理解やつまずきに対して十分な助けのない授業の状態から、学習者一人ひとりの理解に応じた課題提示と、即座のフィードバックをすることによって学習を強化することができる。
 すでに、1 人 1 台の端末を活用したオンラインでの通信教育教材がすでに多く市販されている。また、学習履歴のデータを活用して学習者に合わせた教材を提供するアダプティブ・ラーニングも始まっている。

具体的な方法

 ①一人ひとりに適した教材や課題の配信
 ②一人ひとりの定着度の確認
 ③一人ひとりの課題の提出状況の確認

2.思考を深め、表現の幅を広げる道具

 ピアジェ・ヴィゴツキー・デューイの構成主義的な教育の手助けになる。
構成主義的な教育とは、学習者自身が、今までの知識を基にして、他者(教師を含む)や出版物など色々な媒介を通じて、主体的に学習内容を理解しようとしていくことで、効果的な学習ができるという理論である。
 この理論に基づいた授業の中では、一人一台の端末により教員からの情報や与えられた教材のみから学習する今までの状態から、学習者一人ひとりがインターネットなどで自らの活用したい情報を探すことによって、学習を強化することができる。
 また、学習者が集めた情報を編集して、表現するためにも1人 1 台の端末は大きな手助けになる。授業中にも、1 人 1 台の端末により、他の学習者の意見を瞬時に参考にすることができ、学習者に新たな気づきを促すことができる。

具体的な方法

 ①一人ひとりがインターネットを使った探究的な学習
 ②一人ひとりが表現をする活動
 ③一人ひとりが、他社の意見を参考にする活動

3.情報伝達・共有の道具

 学校には事務的な連絡が多くある。その上、生徒たちは学級、学年、授業、部活動、委員会活動、有志の活動などと様々なグループに所属している。必要な生徒たちに、必要な情報を伝えるために学校では校内掲示板、学級会での伝達、校内放送、配布物などの様々な手段が使われてきた。リーダーの育成など教育的な効果がある活動もあれば、
単なる事務連絡として済ませてよい活動もある。
 1 人 1 台の端末の活用により、学校での所属グループごとに集めて情報を伝達していた状態から、時間を選ばず 1 人 1 台の端末を持った生徒に対して、文章にて情報を伝達することができる。
(※深夜は除くなど、常識的な時間に限るが。)
また、言語だけでは伝わりづらい情報を、文章・写真や図なども活用し視覚的に伝達することができる。

具体的な方法

 ①一人ひとりへのメールなどでの連絡
 ②学内掲示板での情報の共有




参考
「一人一台端末時代」のメディアと教育 稲垣忠著
  https://www.nhk.or.jp/bunken/book/media/pdf/2015_22.pdf
構造主義が投げかける新しい教育 久保田賢一著
  http://www.res.kutc.kansai-u.ac.jp/~kubota/write/CIEC03ver4.pdf
こどもの発達を促す e-learning の活用法 ベネッセ教育総合研究所
  http://berd.benesse.jp/assessment/topics/index2.php?id=4832